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2009年9月 日本に帰って来たruchika  3年半ぶりの日本に戸惑いながら しばらく英国の記事をアップしていきます。


by ruchikald

Tate Modernで 現代アートと遊ぶ

 雨の合間の久々の快晴

貴重な晴れの日は 何をさておき 出かけるのがルチカ流

こんなにじめじめ 雨降りは 人を怠惰にさせるよね

だから 生産的に物事を考えられないんじゃない?って

ちょっと 皮肉な目で英国人を見てしまう。

私たちにとってうんざりな天気も 英国人にとっては

” What's wrong with the weather?
  ( 天気に何か問題ある?) ”らしい。

実際 雨降りでも傘をささないで フードや帽子をかぶったまま

歩いている人が ほとんど。

霧雨だったり 風が強いのでどのみち 濡れるんですよね。

別の英国人は

”生まれてこのかた 雨で 傘をさしたことがない”と

広言してはばからないらしい。

           はあ そうでっか 

           まっ ご自由に057.gif

    横道にそれました。 

で テムズ河沿いにある Tate Modern (テート モダン)へ
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もともと発電所だった建物を2,000年に現代美術館として改築。

川沿いの道を散策しつつ 館内へ

入口が2階で 1階のTurbine Hallを見下ろすと 床に地割れが?

いえいえ これもアートの一つです。
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3階は UBSがスポンサーのコレクション。

特に秀逸なのは Mark Rothko(マーク ロスコ)の作品で

暗く照明を落とした部屋に 巨大な油絵が展示されています。

入った瞬間 その異常な静寂に見学者も圧倒されていました。
 
4階は Louise Bourgeois(ルイーズ ブルジョア)の特別展を開催中
(2008年 1月20日まで )
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1,911年 フランス生まれの女流彫刻家 現在NY在中

70年近い制作活動を8つのジャンルにわけて展示するという

大規模な回顧展。

日本では 六本木ヒルズの 巨大な蜘蛛の野外彫刻を見かけた方も

多いでしょう。

手前にある 蜘蛛の彫刻
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最初期の木のオブジェから 大理石

さらにラテックスなど より扱いやすい素材を駆使して

表現を変えていった様子がよくわかります。

彼女の創造の源は 幼少期の暴君的な父親(男性)への恐怖と

家庭内での抑圧。

そして 父性の克服と 母性への追慕です。

裕福な家庭でありながら 自分の家庭教師が父の愛人になるという

屈折した少女期を過ごしたルイーズ。

母は家業のタペストリー製作を一手に取り仕切っていたそうで

彼女の永遠のテーマである ”蜘蛛”は

     糸を紡ぐ=タペストリーという図式になり

母への 深い思いが作品に込められているという訳です。

そうそうこの蜘蛛の彫刻 ”Maman ( お母さん)”という題で

胴体には 大理石やガラスの卵が埋め込まれています。

一見 グロテスクな姿ですが

その謂れを知ると なんとも愛着が出てきますね。

また 巨大な樽を閉塞した部屋に見立て

古ぼけたベッドの上に 

雨をイメージした大小のガラス瓶を天井から垂らした

 ”Precious water"が 感動的でした。

雨も美しい液体だったんだと 気付かせる作品だったので

今の私には新鮮でした。



美術館巡りは 自分が上手く言葉で表現できなかった

混沌とした思いが すくいあげられたり  凝固したり 精製される場です。

特に現代美術は 余計な蘊蓄が少ないので

自分の見たままの新鮮な感覚を 自由に開放できるので

とてもリラックスします。

雨降りの合間の良い気分転換になりました。
 
by ruchikald | 2008-01-18 08:33 | Art